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外反母趾Hallux valgus

概念

 外反母趾とは母趾(足の親指)が中足趾節関節(つけ根の関節、以下MTP関節)で外側に「く」の字に曲がる疾患です。(図1)余りひどくなると母趾が第2趾の下にもぐり込んで、第2趾のMTP関節を脱臼させます。

   
 <図1a>
外反母趾足:母趾の外側偏位と回内変形を認め、第1中足骨頭内側隆起は突き出している。
<図1b>
X線像:第1MTP関節の外側亜脱臼と第1中足骨の内反を認める。母趾種子骨は外側へ編位している。 


 変形以外に、「く」の字の角の部分、母趾MTP関節内側部が赤く脹れ、靴をはくと当たって痛みます。(bunionといいます)足底部の第2,3趾のつけ根にもタコができて痛むことがあります。(図2b)
   
 <図1a>
外反母趾足:母趾の外側偏位と回内変形を認め、第1中足骨頭内側隆起は突き出している。
<図1b>
X線像:第1MTP関節の外側亜脱臼と第1中足骨の内反を認める。母趾種子骨は外側へ編位している。 

成因

1)先天性の解剖学的な要素

<要素1>
第1・2中足骨間角(以下M1-M2角、図3のA)が大きい。正常値は5〜8度。言いかえれば、第1中足骨内反がある。

<要素2>
第1中足骨頭部が異常に長い。

<要素3>
第1中足骨頭部が巨大であったり、外骨腫様の突出の著しい例がある。
 
 
   <図3>外反母趾に対する各X線計測法
@外反母趾角
A第1・2中足骨角
B第1・5中足骨角
C第1中足骨頭関節画傾斜角

2)外から足に加わる環境因子

 具体的には「履物」の変化ということにつきます。同じ足の疾患でも内反足はヒポクラテスの時代から知られていて、その治療法の文献も存在しますが、外反母趾が文献上記載されるようになったのは、ようやく18世紀になってからです。わが国においては、下駄や草履などの鼻緒のある履物が主流であった戦前には殆ど無かったようです。

 近年、ハイヒールやパンプスなどの先細の靴が頻繁に使用されるようになって、本疾患の発症は急激に増加しました。 個人的な印象としては、バブル期以降、一般の若い女性が高級輸入靴をはくのが珍しくなくなってから、更に増加傾向に拍車がかかった感があります。

発症の予防

 発症してから治療することよりも、発症を予防することのほうが、簡単であり且つ重要であることは、言うまでもありません。 少しでも外反母趾の傾向が見とめられれば、屋内では状況が許す限り裸足又は余裕のある靴下や足袋をはき、戸外では鼻緒のある履物や前足部に余裕のある靴を用いる事です。 特に女性の場合は、極端に先細のハイヒールを頻繁に長時間履かないように心がけることが肝要です。

治療法

1)保存的治療法

 前述の発症の予防にも通じることですが、本症発症の環境因子(不適当な靴、堅い床面、長時間の歩行)を徹底的に、しかも可及的早期に排除することがまず第一です。 症状の強さに応じて、パップ剤や非ステロイド性消炎鎮痛剤が用いられます。

 第1,2趾間に挿入して外反母趾角(図3の)を減少させる目的の副子を用いることもあり、これはスーパー等でも市販されていますが、根治的な効果は残念ながら期待できません。

2)手術療法

 長期間(6ヶ月以上)の徹底的な保存的治療が無効で、前述の外反母趾角が30度以上ある症例は、手術も考慮します。 手術法は100種類以上もあるといわれており、絶対的に優れた術式が未だ確立されていないということでしょう。

 第一中足骨骨切り術と腱移行術を組み合わせたMitchell法が一般的であり、骨切りの部位や骨切りの形状(wedge、domeなど)を術者が好みに応じてmodifyして施行しているケースが多いようです。

 一般的には、10代から40代までに手術を受けたものは適切な術式で行われていれば予後は良好ですが、50代以上の高齢者や、リウマチや糖尿病などの基礎疾患を有する症例の手術成績はやや劣ります。


 *詳しくは、慶應義塾大学整形外科学教室のHP
http://www.sc.itc.keio.ac.jp/orthop/)の足の外科のコーナーもご参照ください。

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