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五十肩


五十肩というのは江戸時代から用いられてきた俗称であり、正式には肩関節周囲炎といいます。中年以降の肩関節構成体の年齢的変化を基盤として発生し、一定期間内に自然治癒を見ることが多い疼痛性肩関節制動症の総称として理解されています。

病因・病態
諸家によって色々な説が唱えられており、いまだに一定の見解は得られておりませんが、簡単にまとめると以下のようになります。すなわち、五十肩の大半は [図1] の腱板の血行障害に起因する退行性変化から腱炎を生じ、肩峰下滑液包炎となって発症し、大部分は数ヶ月〜一年の経過で治癒するのですが、その一部は癒着性滑液包炎を経て肩関節拘縮に至ります。腱板損傷のうち治り得るものの治癒過程であるかもしれない、という説もあります。
[図1]腱板と肩峰下滑液包
[図1]  腱板と肩峰下滑液包
腱板の上面は肩峰下滑液包を介して肩峰と接し、下面は肩関節腔と接している。

臨床症状
主な症状は、肩関節の疼痛と運動制限です。本症の臨床経過は、通常3つの時期に分類されます。

Freezing phaze
最も疼痛の激しい時期であり、衣服の着脱や排便後の始末などが困難となります。特に夜間に疼痛が強く、睡眠障害をきたす例も少なくありません。この時期の運動制限は、疼痛による筋性防御的な要素が強く、真の関節拘縮によるものではないと考えられます。

Frozen phaze
この時期になると、疼痛よりも関節拘縮による運動制限が症状の中心になります。
具体的には、肩が上がらない、帯が結べない、髪が洗えないというような訴えが多いです。

Recovery phaze
疼痛、運動制限が次第に回復してくる時期です。

検査所見
単純X線では、五十肩に特異的な所見はありません。関節鏡を施行すると、種々の程度の滑膜炎と血管増生が見られます。

治療
保存療法が、大原則です。
Freezing phazeの治療
この時期には、肩峰下滑液包や腱板の炎症を取り除いて疼痛を改善することがポイントとなります。
温熱療法
血行を改善して疼痛を緩和する温熱療法は、五十肩の保存的治療として有効であり、代表的なものとしてはホット・パック、極超短波(マイクロ)などがあります。

薬物療法
非ステロイド性の消炎鎮痛剤、パップ剤も疼痛緩和の手段として有効です。

注射療法
炎症を起こしている部位をよく見極め、肩峰下滑液包であれば滑液包内に、上腕二頭筋長頭腱鞘炎であれば腱鞘内に、水溶性ステロイドに局所麻酔薬を混合させた液を1〜2週に1回注射します。速効性で喜ばれますが、効果は3日くらいしか持続しません。しかし、定期的に注射していると、徐々に滑液包の炎症が沈静化していきます。

Frozen phaze治療
この時期には、運動療法が主になります。
Pully Exercise [図2]、CodmanのStooping Exercise [図3]、 Connolly のPassive Stretching Exercise [図4]などがあります。
[図2]プーリーを使用しての自動介助運動 ←[図2] プーリーを使用しての自動介助運動


↓ [図3] Stooping Exercise
[図3]保存療法

[図4] Connollyのexercise
(1)タンスのふちなどに可及的に挙上した手をのせて、その状態で膝を屈曲させる。
[図4]Connollyのexercise
(2)両手を腰のところで組み、上下させる。 (3)手を全面で組み、そのまま頭の後ろへ回して、上腕を開閉する

予後
患者さんでよく「五十肩は、放っておくしかない」とか「治療しても同じでしょう」とか仰るかたがいらっしゃいますが、これは正しい認識とは言えません。確かに数ヶ月〜1年くらいで治癒するケースが多いのですが、放置しておくと症状が遷延化し、最悪のケースとしては「凍結肩」といって肩関節の拘縮を残してしまう場合もあります。
やはり、できるだけ早い時期に整形外科を受診して、適切な治療を受けたほうがいいと思います。





森本整形外科医院
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